便潜血陽性

便潜血検査とは

便潜血検査には化学法と免疫法があり、最近では免疫法が用いられることが増えてきています。免疫法はヒトのヘモグロビン(赤血球にあるタンパク質)を検出し、食事に含まれる食肉や魚由来の血液を検出することはありません。また、胃酸や膵液などによって変化したヘモグロビンを検出しないため、口内や喉、上部消化管といった部分の出血で陽性になることも少なくなっています。ただし、潰瘍性大腸炎やクローン病、痔などでも便潜血検査陽性になりますので、陽性になった場合には速やかに大腸内視鏡検査を受けて大腸がんの有無を確認する必要があります。

便潜血検査が陽性になったら

便潜血検査は、便を採取して血液が含まれていないかを調べる検査です。手軽に受けることができ、心身への負担もないことから、健康診断などでも行われることが多くなっています。

便潜血検査でわかるのは、口から肛門までの消化管のどこかから出血しているということだけであり、出血している部分や状態、原因疾患などは精密検査を受けなければわかりません。もともと、便潜血検査は大腸がんのスクリーニング検査として行われています。進行した大腸がんの場合は陽性になって発見につながるケースが多いのですが、早期の大腸がんでは陽性にならないことも少なくありません。大腸がんがあって便潜血検査陽性になる確率は進行度や算出方法によって変わり、30.0~92.9%と報告されています。

毎年受けることで大腸がんによる死亡リスクが下がることは明らかになっていますので、毎年欠かさずに受けて、陽性になったらできるだけ早く大腸内視鏡検査による精密検査を受けてください。


早期発見のチャンスを逃がしてしまう危険性

便潜血検査は便を2回採取する2回法が主に行われています。そして、便潜血検査で1回でも陽性になった場合には、精密検査として大腸内視鏡検査を受けるようおすすめします。陽性の結果が出たら再度便潜血検査を受けて、もう一度陽性となったら精密検査を受けるという方がありますが、大腸がんは出血を起こさないことも多いため、一度でも陽性になった場合にはすぐに大腸内視鏡検査を受ける必要があります。

便潜血検査は陽性になっても原因ががんとは限りませんが、がんだった場合には早期に大腸内視鏡検査を受けることで早期治療に結び付きやすくなります。

大腸がんはよくある病気

日本では、全てのがんを合わせた場合、二人に一人が生涯に一度はがんにかかるとされています。がんの中でも大腸がんは男女ともに長年罹患率の上位を占めていることが統計調査でも明らかになっています。生涯の間、男性は十人に一人が大腸がんにかかり、女性は十二人に一人が大腸がんになるとされています。大腸がんはとても身近な疾患なのです。

どんな疾患でも同様ですか、早期発見によって治癒する可能性は高くなります。大腸がんは特に、早期発見すると内視鏡による侵襲の少ない治療で完治が望めるケースが多くなっています。進行させてしまうと死亡に至る可能性が高く、がんによる死亡率では大腸がんが上位を占めているため怖いがんという印象もあるかと思いますが、大腸がんは早期発見が有効です。便潜血検査陽性になった場合はできるだけ早く消化器内科を受診して、大腸内視鏡検査を受けてください。

便潜血検査と痔

痔便潜血検査陽性で精密検査を行うと、痔が原因になっていることがよくあります。ただし、痔があれば大腸がんがないということではないため、この場合も便潜血検査陽性の場合は大腸内視鏡検査が必要です。また、いぼ痔の内痔核がある場合、排便時に痛みなく出血することがよくあります。こうした場合も、実は大腸がんによって出血している可能性があります。

痔がある場合も、便潜血検査陽性や血便がある場合には、早めに消化器内科を受診してください。なお当院では肛門内科の診療も行っていますので、痔の適切な検査・診断・治療が可能です。デリケートな部分の疾患ですから、きめ細かく配慮して痛みなどを最小限にした診療を行い、スタッフ全員が患者さんのプライバシーを重要視していますので、安心してご相談ください。

肛門内科について

大腸内視鏡検査を受けましょう

大腸内視鏡検査大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を挿入して大腸全域の粘膜を詳細に確認する検査です。疑わしい部分を発見した場合には組織を採取して病理検査を行うことで確定診断が可能です。また止血処置や、検査中に発見した前がん病変の大腸ポリープをその場で切除する日帰り手術を行うことができ、将来の大腸がん予防にもつながります。

微細な早期の大腸がんを発見して、確定診断や、治療、予防までできるのは唯一、大腸内視鏡検査だけです。
また大腸がんは早期発見することで内視鏡による切除手術が可能になり、それによって完治が望めます。そのためにも早期発見はとても重要です。便潜血検査陽性の場合、早期発見につながるチャンスがありますので、できるだけ早く大腸内視鏡検査を受けてください。

当院の大腸内視鏡検査

大腸カメラ検査当院では最新の内視鏡システムや内視鏡スコープを導入し、日本消化器内視鏡学会専門医である院長が精度の高い安全な検査を行っています。洗練された手法を使いこなすことで負担を最小限に抑えた検査が可能であり、苦手意識が強い場合には軽い鎮静剤を用いてウトウトと眠っているような状態で痛みや不快感のない大腸内視鏡検査が可能です。

安全性や精度が高い検査を行うために、当院では事前診療を受けていただき、検査内容をわかりやすくご説明し、血液検査などを行った上で、内視鏡検査のご予約をお願いしています。内視鏡検査を検討されている場合はまずはご相談いただいて、気になることがありましたらなんでもご質問ください。院内で下剤を服用するなど、患者さんのご希望にきめ細かく合わせたアレンジが可能ですので、ご不安がある場合もお気軽にご相談ください。



文責:新家 卓郎 院長 【消化器内視鏡専門医・消化器病専門医・肝臓専門医、肝臓暫定指導医・総合内科専門医】

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