便秘

便秘とは

便秘は、毎日排便がある場合も、スムーズな排便ができない・強くいきんでも少量しか出ない・残便感がある・薬を飲まないと排便できないなども含んでいます。女性はホルモンの影響や習慣的に便意を我慢して便秘になることが多く、年齢が上がると発症頻度も上昇します。男性も加齢によって便秘を発症しやすくなります。
また、便秘は大腸がんなどの疾患によって生じることもあります。また便秘が続くと大腸疾患や痔を発症するリスクも上昇します。特に切れ痔と便秘は互いを悪化させなから進行することがあるため注意が必要です。
体質だからとあきらめている方も多いのですが、疾患を原因としない便秘は消化器内科を受診して適切な治療を受けることで改善や再発予防が望めます。便秘でお悩みがありましたら、消化器内科受診しするようおすすめしています。

便秘の具体的な症状

  • 排便が週に3回未満しかない
  • 強くいきまないと出ない
  • 便が硬い
  • ウサギの糞のように小さくてコロコロした便が出る
  • 少ししか出ず、残便感がある
  • 排便に長い時間がかかる
  • 薬を飲まないと排便できない
  • 薬が効かなくなって内服量が増えた
  • 浣腸をしないと出ない
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 毎日お通じがあるが、スッキリしない
  • 旅行などで環境が変わると排便できない

便秘の原因

食物繊維の不足、運動不足、水分不足、便意の習慣的な我慢、ストレス、市販薬の常用など、発症に生活習慣が大きく関わっていることが多くなっています。また、疾患の症状として便秘が生じていることも少なくありません。大腸がんなどの深刻な疾患が原因で起こっていることがあり、早急な治療が必要になる場合があります。また、腹部手術後に起こる癒着によって生じているケースもあります。
消化器疾患以外でも、甲状腺疾患、糖尿病、膠原病などが便秘発症に関与しているケースや、薬の副作用として生じているケースもあります。

便秘の種類

便秘は、機能性便秘と器質性便秘に分けられ、器質性便秘は病気が原因になって生じている便秘です。便秘の治療では、ご自分の便秘タイプを知ることが重要です。タイプに合わせた治療を受けないと悪化させることがありますのでご注意ください。消化器内科では便秘タイプや体質などに合わせたきめ細かい治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。

機能性便秘

弛緩性便秘

大腸の蠕動運動機能が低下することで生じている便秘です。腸管が弛緩して蠕動運動が低下すると、腸管に便が長時間とどまって水分が過剰に吸収されて硬くなり、強くいきんでも排便が困難になります。運動不足・水分や食物繊維不足、ダイエットなどによって起こることが多く、膨満感や残便感、食欲低下などをともなうこともあります。

痙攣性便秘

大腸が過緊張を起こしてけいれんし、便が停滞して便秘になります。過敏性大腸症候群で多いタイプの便秘です。環境変化などで便秘になることが多く、便秘と下痢を繰り返すこともあります。下腹部痛や残便感をともなうこともあります。

直腸性便秘

便意の我慢の習慣化によって便意を感じにくくなって生じる便秘です。直腸に便がたまって硬くなり、排便困難になります。慢性化すると直腸部分が広がってしまい、さらに排便が困難になってしまいます。切れ痔のリスクが高く、切れ痔を繰り返し再発して悪化させる要因にもなっています。切れ痔が進行して傷が潰瘍化や瘢痕化すると肛門が狭窄し、排便困難がさらに悪化します。

器質性便秘

腸に生じた疾患の症状として便秘が起こっています。原因疾患には、腸閉塞(イレウス)、大腸がん、腸管癒着などがあります。器質性便秘を市販の便秘薬で解消しようとすると、腸管の穿孔などを起こす可能性があり危険です。消化器内科で原因疾患の適切な治療を受けることで便秘の症状も改善に向かいます。なお、便やガスが出ない、血便や強い腹痛がともなう、吐き気や嘔吐を起こすなどの場合には、できるだけ早く消化器内科を受診する必要があります。

その他

甲状腺疾患、糖尿病、膠原病などの疾患や、服用している薬の副作用で生じる便秘などが含まれます。原因疾患がある場合にはその治療をしっかり行うことが重要です。薬の副作用で便秘が生じている場合は処方の変更などを行うことで、便秘も解消できます。

便秘の検査

問診で便秘の状態やこれまでの症状の変化、ライフスタイル、お困りの内容、既往症や服用している薬などについてうかがいます。
触診でお腹の状態を確認し、エコー検査、CT検査、大腸内視鏡検査、血液検査などを行って原因疾患の有無を確かめ、便秘のタイプを判断します。

便秘の治療

食事や運動といった生活習慣の改善と適切な薬物療法を組み合わせて行い、症状の改善と再発防止につなげます。

生活習慣改善

適度な運動適度な運動を習慣化することで腸の機能が整いやすくなり、血行や代謝の改善によって腸の働きも改善します。また、便意があったらすぐトイレに行く、長時間強くいきんで無理に出そうとしないなど、排便習慣の改善によって効果的な再発予防につなげます。

食事

食事水分をしっかり摂取し、食物繊維も積極的にとるよう心がけてください。また、善玉菌となる乳酸菌を多く含む発酵食品の摂取もおすすめできます。栄養バランスがとれた食事を1日3食、決まった時間にとり、早起きして太陽光を浴びて体内時計をリセットしましょう。適量の脂肪をとることもスムーズな排便につながります。

腸内フローラ

腸内フローラ便は、食べ物から栄養を吸収した残りが半分以下しかなく、半分以上は老廃物と腸内細菌です。腸内細菌を増やすことで便の量が増え、スムーズな排便が可能になります。特にダイエットで食事量が少ない場合には、食物繊維や乳酸菌を積極的にとることが重要です。乳酸菌は善玉菌の増加を促進するだけでなく、周囲の環境を弱酸性にして悪玉菌の発生を抑える効果も見込めます。乳製品に含まれる動物性乳酸菌だけでなく、漬物や味噌に含まれる植物性乳酸菌もとるようにしてください。

薬物療法

内服便を軟らかくする薬、蠕動運動などの機能を整える薬など、患者さんの症状や便秘タイプ、ライフスタイルに合わせた処方を行っています。新しい作用を持った薬も登場しており、当院では漢方薬の併用も可能です。効果の現れ方には個人差がありますので、再診の際に処方を微調整してより効果の高い処方にしていきます。
市販薬の服用量が増えてきているなど、効果が出にくくなっている方もお気軽にご相談ください。


文責:新家 卓郎 院長 【消化器内視鏡専門医・消化器病専門医・肝臓専門医、肝臓暫定指導医・総合内科専門医】

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