CT検査

CT検査とは

CT検査なら、短時間のうちに体をくまなく調べることが可能です。
痛みや不快感が無く、検査着に着替えてから、検査終了まで10分程度と短時間なので、患者様への負担が少ない検査です。

注意事項

CT検査はX線を使用するため、妊娠または妊娠の可能性がある方は、原則として検査が受けられません。

CT検査で発見可能な
病気

頭部領域

頭部外傷

頭部外傷とは、交通事故や転倒などが原因で頭をぶつけ、損傷を受けた状態です。
頭をぶつけた後に、吐き気や頭痛などの症状が起こっている場合は、CT検査で頭蓋骨骨折、脳挫傷、くも膜下出血、硬膜外血腫などが無いか詳しく調べる必要があります。

くも膜下出血

脳を保護する脳膜の「くも膜」と脳の間にある血管が、何らかの原因で出血すると、今まで感じたことのないような突然の激しい頭痛が起こります。脳動脈瘤が原因で出血が起こっている場合、再出血の恐れがあり、すぐに治療が必要です。
CT検査なら、くも膜下出血の診断が可能です。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)

脳卒中は、正式には「脳血管障害」と呼ばれ、脳の血管が破裂する脳出血と脳の血管が詰まる脳梗塞に大きく分けられます。 脳の血管が詰まったり破れたりすることで、手足に力が入らない、ろれつが回らない、めまいなどの症状を引き起こします。また、吐き気や頭痛などの前兆が現れることもありますので、早期に発見して適切な治療を行うことが重要です。
いつもと違う頭痛や体の症状に気が付いたら、早めに検査を受けましょう。

脳腫瘍

頭蓋内にできる腫瘍で、頭痛や吐き気が慢性的に続くといった症状をはじめ、視界が見えにくい・物が二重に見えるなど眼の症状や、難聴、めまいなど、腫瘍ができる場所によって症状は様々です。

硬膜下血腫

頭に軽い外傷を受けたことなどをきっかけに、脳の表面に微量の出血が起こると少しずつ血が溜まって固まった血腫となります。
頭部外傷の直後は無症状のことが多く、数週間~数か月かけて少しずつ血が溜まって硬膜と脳の間に血腫が作られていきます。中高齢者(50~60歳以上の方)、アルコールをよく飲む方等に多くみられます。
CT検査ですぐに診断が可能です。

副鼻腔炎

鼻の奥にある副鼻腔という空洞に炎症が起こることで、鼻水や鼻づまり、頭痛、発熱などの症状がみられます。
蓄膿症ともよばれ、炎症がひどいと眼の周りにも痛みが広がります。CT検査では、炎症して溜まっている液体の範囲やポリープの有無を確認することが可能です。

慢性中耳炎

急性中耳炎が再発するなどして、中耳内が慢性的に炎症することで発症します。痛みは無く、音が聞こえにくいといった難聴の症状が起こります。そのまま放置して悪化すると、顔面神経麻痺を引き起こす恐れがあります。
CT検査では、耳の奥の鼓膜や耳小骨の状態までしっかり調べることができます。

胸部領域

肺炎

肺の中に細菌やウイルスなどが侵入して感染すると咳や痰、発熱といった風邪のような症状が長く続きます。
肺炎は、胸部レントゲン検査では異常を見つけることが難しいですが、CT検査なら肺の炎症の範囲や重症度などがわかります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれる病気の総称です。ちょっと歩くだけで呼吸が乱れる、息切れが起こる、慢性的な咳や痰がでる、呼吸困難などの症状があります。長期間、喫煙していると気管支や肺に炎症が起こって発症します。
喘息と症状が似ているので、CT画像で診断した上で適切な治療を行うことが大切です。

肺がん

肺がんの死亡者数は、男性1位、女性2位と日本のがん患者数の中でも特に多くみられます。肺がんは、初期には自覚症状がほとんどありません。
病気が進行していくと、咳、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛といった呼吸器症状が出ることがあります。
これらの症状は、肺がん特有の症状ではないため、CT検査での画像を用いて正確な診断を行う必要があります。

大動脈瘤

全身に張り巡らされた血管(大動脈)に、水風船のような膨らんだ「こぶ(瘤)」ができている状態です。
大動脈瘤は、無症状なのでほとんどが破裂するまで気が付きません。大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドラインでは、大動脈瘤が破裂した場合の死亡率は、90%と非常に高い数値が報告されています。
胸部レントゲンや精密検査で見つかる場合があります。放置していると命に関わるため定期的に精密検査を受けましょう。

大動脈解離

大動脈は、外膜・中膜・内膜の3層の壁で覆われています。大動脈解離はこの3層のうち、中膜に遺伝や動脈硬化など何らかの原因によって亀裂が入ることで、その亀裂から血液が流れ込んで血管壁が避けてしまう状態です。
発症すると、背中や胸を急にバットで殴られたような痛みが起こるのが特徴です。早期に見つけて適切な治療を行うことが重要です。

腹部領域

慢性肝炎、肝硬変、肝炎ウイルス感染

アルコールなどが原因で発症し、自覚症状はほとんどありません。病気が進行していくと、体のむくみや黄疸などの症状が出ます。肝臓がんや食道静脈瘤など重篤な病気を合併することがあるため注意が必要です。
CT検査なら、肝臓の状態を撮影した画像で確認することが可能です。

膵炎、膵腫瘍
(すいえん、すいしゅよう)

膵臓は、炎症や潰瘍が起こると上腹部から背中にかけて痛みなどの症状が現れます。さらに嘔吐や発熱、消化酵素やホルモン分泌の異常からくる下痢、糖尿病の悪化などの症状が現れることがあります。
血糖値の上昇を防ぐホルモンを分泌する重要な役割を担う膵臓は、胃の後ろに位置しているので、レントゲンなどの検査では異常が見つかりづらい、定期的にCT検査で膵臓の状態を確認することが大切です。

尿管結石

尿管に結石が詰まると激しい痛みが起こります。一度、痛みが落ち着いた後に再び痛みが起こるのも尿管結石の特徴です。
痛みの他に、血尿が出る場合があります。CT検査では、尿管のどこに結石ができているか、尿の滞留程度などについて詳しく調べることができます。

腹部大動脈瘤

胸部領域の大動脈瘤と同様に、自覚症状はほとんどありません。腹部大動脈瘤は、高血圧や動脈硬化などをきっかけに起こります。そのまま放置していると破裂する恐れがあるため、定期的にCTによる精密検査で状態を確認して経過観察する必要があります。

その他の領域

骨折

CT検査なら、レントゲン検査では確認しづらい手首や肋骨、膝などの骨折、脊髄の圧迫骨折などの状態を診断することができます。

脊柱管狭窄症(せきちゅうかん
きょうさくしょう)

神経の通る脊柱管が、何らかの原因で圧迫されて狭くなる状態です。
脊柱管狭窄症は、頚椎や腰椎に発症しやすく、頚椎に発症すると手足のしびれや運動障害などの症状が起こります。
腰椎に発症すると腰から下のしびれや腰痛などの症状が現れます。
CT検査では、骨全体のバランスや変形の程度、狭窄の生じている部位を調べることが可能です。

内臓脂肪計測

自費診療とはなりますが、CTでおへその高さで輪切りの断面図を撮影して内臓脂肪の面積を調べることができます。
メタボリック症候群の補助診断としても有用な検査です。

症状の原因について
調べる

CT検査は、すぐに治療が必要となる胃潰瘍、急性膵炎、尿路結石、胆嚢炎、急性虫垂炎、大腸憩室炎、腸閉塞、腹膜炎、大動脈瘤破裂、がんなど様々な病気の診断に有用な検査です。迅速に正確な診断を行うことで、適切な治療を速やかに行うことができます。

がんについて
調べる

肺がんや肝がん、膵がんの死亡者数は、がん死亡者の全体の3分の1を占めています。これらのがんを早期発見・診断するには、CT検査が最適です。
肺がんは、日本人のがん死亡者数において男性1位、女性2位と非常に高く、年々増加傾向となっています。喫煙習慣のある50歳以上の男性は、発症リスクが高いので特に注意が必要です。
咳、痰、胸痛、息苦しさなどが長く続いている時は、一度ご相談ください。
また、B型・C型肝炎や肝硬変の持病をお持ちの方は、肝がんを発症するリスクが高いので、定期的に血液検査とCT検査を受けていただくことで病気の早期発見に役立ちます。


文責:新家 卓郎 院長 【消化器内視鏡専門医・消化器病専門医・肝臓専門医、肝臓暫定指導医・総合内科専門医】

TOPへ